イブニングレクチャー
肥満
2018年10月31日(水) 担当:加藤ゆか(助教)
Reference:
Title:
Long-term Relapse of Type 2 Diabetes After Roux-en-Y Gastric Bypass: Prediction and Clinical Relevance.
Author:
Debédat J
DATA:
Diabetes Care. 2018 Oct;41(10):2086-2095. doi: 10.2337/dc18-0567. Epub 2018 Aug 6.
Abstract:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30082327
Discussion:

       肥満手術の一つであるRoux-en-Y胃バイパス術において、現時点で存在する予後推測スコアリングでは術後1年までしか評価を行えていないのが現状である。

       本研究では、「5y-Ad-DiaRem」という、術後5年の予後を予測するスコアリングシステムを新たに開発し、この5y-Ad-DiaRemは、90%の精度をもって5年後の糖尿病寛解を予測することが出来ることが確認された。よって、この5y-Ad-DiaRemは、Roux-en-Y胃バイパス術後の予後を長期的(5年)に予測ができる、簡便で有益なスコアリングシステムと考えられる。

       5y-Ad-DiaRemによる予後予測の有用性は、3つの国のそれぞれの独立した3つのコホートで示され、そのコホートの中には、幅広い年齢層やRYGB前の様々なレベルの2型糖尿病が含まれており、5y-Ad-DiaRemスコアリングシステムの有用性は強固であることが示唆された。

       本研究で5y-Ad-DiaRemを開発するにあたり、術前と術後1年の体重推移のデータが、糖尿病の再発や予後に関連していることがわかったため、今後としては、術後1年間の患者のfollow-up期間の中で、寛解の期間を長期化させるための管理として、適切な体重管理を積極的に行うことや、それを医療者側が患者に対してルーチンケアにすることで5年後の糖尿病寛解率の改善につながる可能性が考えられた。

Category:
2型糖尿病肥満
2018年10月15日(月) 担当:中神朋子(准教授)
Reference:
Title:
Efficacy and safety of semaglutide compared with liraglutide and placebo for weight loss in patients with obesity: a randomised, double-blind, placebo and active controlled, dose-ranging, phase 2 trial.
Author:
O'Neil PM
DATA:
Lancet. 2018 Aug 25;392(10148):637-649. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31773-2. Epub 2018 Aug 16.
Abstract:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30122305
Discussion:
食事・運動療法下での 52 週に渡るセマグルチド投与の忍容性は良好であり、プラセボと比較してすべてのドーズで臨床的妥当性のある体重減少を示した。
Category:
肥満
2018年09月29日(土) 担当:麻沼卓弥(後期研修医)
Reference:
Title:
Cardiovascular Safety of Lorcaserin in Overweight or Obese Patients.
Author:
Bohula EA
DATA:
N Engl J Med. 2018 Sep 20;379(12):1107-1117. doi: 10.1056/NEJMoa1808721. Epub 2018 Aug 26.
Abstract:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30145941
Discussion:
過体重または肥満の患者の高リスク集団において、ロルカセリンは、プラセボと比較して主要心血管イベントの発生率が高くなることなく持続的な体重減少を促進した。
Category:
肥満
2018年08月16日(木) 担当:中神朋子(准教授)
Reference:
Title:
Effect of the Duodenal-Jejunal Bypass Liner on Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes With Obesity: A Meta-analysis With Secondary Analysis on Weight Loss and Hormonal Changes.
Author:
Jirapinyo P
DATA:
Diabetes Care. 2018 May;41(5):1106-1115. doi: 10.2337/dc17-1985.
Abstract:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29678867
Discussion:
  • 本研究は肥満合併2型糖尿病患者のみが対象となっており、メタ解析結果は、DJBLが、肥満合併2型糖尿病患者の血糖指標の有意な改善と関連していることを示唆している。
  • 肥満合併2型糖尿病患者の治療のための薬物療法および生活習慣介入への補助的な治療としてのDJBLの可能性が示唆された。
  • DJBL時のHbA1cの変化について、糖尿病治療薬の変化が考慮されていない。SGLT-2阻害薬やGLP-1受容体作動薬などを使用されていた可能性があることを考慮する必要がある。
  • 研究の大部分は観察研究である。
Category:
2型糖尿病肥満
2018年08月08日(水) 担当:加藤ゆか(助教)
Reference:
Title:
Perivascular Adipose Tissue-Derived PDGF-D Contributes to Aortic Aneurysm Formation During Obesity.
Author:
Zhang ZB
DATA:
Diabetes. 2018 Aug;67(8):1549-1560. doi: 10.2337/db18-0098. Epub 2018 May 24.
Abstract:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29794241
Discussion:
  • マウスでの実験で、肥満において、perivascular adipose tissue PVAT)由来のPDGF-Dが大動脈瘤形成に関わっており、脂肪細胞由来PDGF-Dが過発現することによって血管外膜の線維化や炎症が促進し、肥満において大動脈瘤形成促進を引き起こしているという分子学的機序がわかった。
  • アンジオテンシンによって腹部大動脈瘤が引き起こされるという点は、高脂肪食由来の肥満マウスと遺伝子的な肥満マウスでは同様の結果であった。
  • PDGF-Dは、血管外膜においてTGF-βの電気信号を介して線維化や炎症を調整おり、PDGF-Dの働きを抑制すると、線維化や炎症も抑制されることがわかった。また、結果としてPDGF-Dの抑制が、マウスの大動脈瘤形成を減少させ、大動脈瘤破裂による死亡も減少させた。
  • これらの結果から、肥満でのPDGF-D機能の抑制は肥満由来の大動脈形成やメタボリック症候群を防ぐ介入となる可能性がある。
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