DIABETES NEWS No.79
 
No.79 2004 March/April

 いよいよ目前に迫りました第47回日本糖尿病学会年次学術集会(5月13日~15日/東京国際フォーラム/よみうりホール)の準備は、皆様方のご協力、ご支援をいただき、急ピッチで進められています。一般演題の応募は1300題を超え、海外からの招待演者は約30名を予定しています。多くの皆様のご参加をお待ちしています。

特別講演/プレナリーレクチャー
 特別講演の演者には国内外から3名の先生方をお招きします。シカゴ大学の Bell 教授には「2型糖尿病の原因遺伝子」と題して、ケンブリッジ大学の Todd 教授には、「1型糖尿病の成因、分子メカニズム、予防」と題して、それぞれ最新のデータをご報告いただきます。東京大学の浅島教授には、「再生医療の進歩と臨床応用への展望」と題して、本学会のメインテーマにふさわしいご講演をいただきます。プレナリーレクチャーでは、春日雅人教授、山本博教授、清野進教授から、それぞれインスリン作用機序と糖尿病の発症、合併症の成因、インスリン分泌機序について、わかりやすくご発表いただきます。

パネルディスカッション/教育講演
 第3日には「糖尿病根治の時代への扉を開く」と題して1型糖尿病と2型糖尿病に分け、それぞれ4名の先生方から診療の未来像について夢を語っていただくパネルディスカッションを行います。
 同じく第3日には、隣接するよみうりホールにおいて、14名の先生方によるもっとも得意とする分野についての教育講演を予定しています。

一般演題では活発な討論を
 学会の基本は一般演題の発表にあります。今回も多くの演題の応募がありましたので、口演での発表を増やすようにプログラムの編成を進めています。シンポジウムとワークショップについては前号で詳しくご紹介しましたが、そのほか多くのランチョンセミナー、イブニングセミナーを計画しています。
 教室員一同、年次学術集会の成功をめざして全力を挙げて準備を進めていますので、ご支援ご協力いただきますようお願い申し上げます。
 


多くの皆様の参加をお待ちしています
 来る5月13日~15日の第47回日本糖尿病学会年次学術集会の最終日(5月15日(土))、午後3時から、東京国際フォーラム ホールAにおいて、本学会と糖尿病財団との共催による市民公開講座が開かれます。糖尿病の患者様やご家族、一般の方々に、21世紀の国民病とまで言われるようになった生活習慣病の代表である糖尿病について、正しい知識のさらなる普及と啓発を目指す本講座を開催したいと準備を進めております。多くの皆様のお越しをお待ちいたしております。

第1部/特別講演
 プログラムは第1部と第2部に分かれます。第1部の特別講演では、まず自治医科大学名誉教授の葛谷健先生に、「糖尿病治療の進歩 ―これまでの治療・これからの治療―」という題でお話いただきます。葛谷先生は糖尿病診療や研究に長年携わってこられたので、糖尿病治療の過去の歴史から、すばらしい進歩を遂げている現在の治療、そして糖尿病治療の未来像へと、薀蓄に富んだ有意義なお話がたっぷり聴けることと思います。特別講演の2はテレビでおなじみのキャスター小倉智昭様にご登場いただきます。「糖尿病はお友達」という題でお話をいただきます。小倉様は、キャスターの第一人者として第一線で活躍されていらっしゃることはご存知のことと思います。糖尿病との付き合い方を自らの経験を通してお話していただけることと楽しみにしております。

第2部/北原白秋を唱う
 特別講演のあとの第2部は、ちょっとリラックスしていただきます。「北原白秋を唱う」と題し、オペラ界から錦織健様と名古屋木実様にご登場いただき、すばらしい歌声で心安らぐひと時を堪能していただきたいと思います。北原白秋は、歌人として有名ですが、その晩年は糖尿病、糖尿病網膜症、腎不全などに苛まれ、57歳の若さで亡くなられました。しかし、失われつつある視力の中ですばらしい短歌や詩を書き続けられました。当時の糖尿病の治療状況の中で、創作を続けられた白秋の人生に思いをはせながら、日本の歌のひと時をお楽しみください。
 私どもは、第47回日本糖尿病学会年次学術集会とともに市民公開講座の成功を願いつつ、どのようにしたら楽しく勉強していただけるか考えながら企画をたてました。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

本誌No.76「北原白秋と糖尿病」をご参照ください。

 


「リリーインスリン50年賞」とは
 インスリン療法を開始して50年以上を迎える糖尿病患者さんを称えるために、米国イーライリリー・アンド・カンパニーが、1974年に本賞を設立しました。設立以来、米国では約1500名の方が受賞されたと伺っています。わが国でも、平成15年から本賞の募集が開始され、昨年は全国から3名の方が応募されました。そして、3名の方々を称える記念すべき第1回表彰式が平成15年11月17日に都内のホテルで盛大に行われました。受賞者のご家族、主治医および関係者の方々等のご出席のもと、白水正明氏(70歳)、向井孝子氏(67歳)、林良春氏(62歳)に純銀製のメダルと賞状が授与されました。新聞等でも報道されましたので既にご存知の方もいらっしゃることと思います。

当センターから受賞者が
 向井孝子氏は糖尿病が診断された1953年当時は札幌にお住まいでしたが、現在は関東にご在住で東京女子医科大学病院糖尿病センターに通院しておられます。私は大森安恵名誉教授以来、8代目の主治医であり、そのようなご縁でこの賞についてご紹介させていただくことになりました。
 一口に50年といいますが、私自身まだ生まれて50年たっていませんので、本当に驚くべき長い時間です。その間、一日も休まずにインスリン注射を続けながら、人生を過ごしてこられたのは大変なことであったと想像されます。この間、2度の出産も経験され、現在はお孫さんもいらっしゃいますが、ご家族と近しい友人だけが知っているだけというなかで、自己管理をこなしていかれた経緯は実に孤独な作業であったと思います。しかし、実際にお会いしますと、そのような重いイメージは微塵も無く、大変お元気で若々しく、糖尿病センターの患者会の会長も長くお勤めいただきました。
 向井氏は、「今回の受賞によりこれまでの努力が報われた思いがします。これを一つの区切りとして、これからは特に若い糖尿病の方々を励ますようなところでお役に立ちたい」とますますプラス思考に磨きがかかっておられます。また、この受賞はご本人だけでなく、ご家族にとっても長い間支えてこられたことに対するねぎらいとなり、新聞等で知るところとなった友人の方々には多くの感銘を与えるきっかけとなったようです。患者さんにこの賞のお話をしますと、「そんな方がいるんですね。わたしもがんばろう。」と勇気付けられるようです。

応募資格など
 一人でも多くの方に是非本賞を受賞していただきたいと思います。応募資格は、50年以上インスリン療法を継続しておられることが証明できるということだけですから、周りに該当する方がおられましたら、次回の応募をお勧めされてはいかがでしょうか?
 
 

第47回日本糖尿病学会年次学術集会市民公開講座

日時/2004年5月15日(土)15:00~17:30

会場/東京国際フォーラム ホールA(入場無料)

  ◆ プ ロ グ ラ ム ◆

開会の言葉第47回日本糖尿病学会年次学術集会 会長 岩本安彦
挨拶(財)日本糖尿病財団      理事長 金澤康徳
第1部
特別講演糖尿病治療の進歩 ―これまでの治療・これからの治療―
           自治医科大学名誉教授 葛谷 健
特別講演糖尿病は お友達    キャスター 小倉智昭
第2部
北原白秋を唱う ―北原白秋と糖尿病―
歌手(ソプラノ)名古屋木実・歌手(テノール)錦織 健/ピアノ伴奏 河原忠之
閉会の言葉岩本安彦

市民公開講座入場申込み応募要領:
 官製はがきに入場希望、住所、氏名をご記入のうえ下記宛先までお送りください。入場券を送付いたします。なお、応募多数の場合は、抽選となりますのでご了承ください。
応募締切:4月9日 当日消印有効
送り先:(株)メディアップ内
「日本糖尿病学会市民公開講座」事務局
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
           パークサイド1-3F
TEL:03-3258-6027/FAX:03-5294-2383

主 催:第47回日本糖尿病学会年次学術集会・(財)日本糖尿病財団
後 援:読売新聞社

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